真剣で私に相談しなさい！忍足あずみ編その３

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真剣で私に相談しなさい！忍足あずみ編その３

真剣で私に恋しなさい！ - 2019年04月06日 (土)

忍足あずみにとっての日常。
それは従者として九鬼に、専属として九鬼英雄に仕えること。

序列１位にまで上り詰めた彼女にとって、それは一生変わらない日常。
少なくとも本人はそう思っていたが、変化は唐突として訪れる。

「聞いたぞあずみ。伊達操助に告白したそうだな！」

「……え？」

練習で伊達操助に告白したことを英雄は何故か知っていて、しかも本気の告白だと誤解していたのだ。

「それは、それはその！」

本命の英雄本人の誤解に慌てるあずみだが、釈明するにもどう言っていいかわからなかった。

「あずみに想い人がいてくれて我も嬉しいぞ」

「わ、私が好きなのは！」

「うむ、わかっておる。伊達操助は良い男だ」

この流れで否定することはあずみにはできなかった。
告白したこと、それによって伊達操助を好きになり、ファーストキスを捧げたのも全て事実だったからだ。

「うっ……はい……」

（でも、あれは練習したから……英雄様の方が今でも……）

操助を好きにはなったが、英雄への愛は比較にならないほど大きい。
それを伝えたかったが、できるわけもなかった。

英雄を愛しているのに、操助に告白したのはどういうことかと問い詰められるのが恐かったのだ。
それにあずみは既に自分の人生を手放してもいた。
人生の決定権を操助に渡した以上、自分の今後に大きく影響を与えるような告白を操助の許可なしにすることはできない。

この時、あずみはどうやっても英雄の誤解を解くことはできない状況に追い込まれていたのだ。

（あいつの言う通りにしたのに、なんでこんなことになっちまったんだ）

英雄の誤解をなんとしても解きたいあずみは、すぐに操助に相談した。
そこで返ってきた言葉は、あずみに予想できないものだった。

「俺より英雄の方が好きだとわかってもらうにはどうすれば良いか……そんなくだらないことで悩む必要はないよ」

「く、くだらないことだと！？」

「くだらないよ。だってお前が英雄への想いを吹っ切ってれば済む話だし」

「英雄への愛が無くなれば俺だけを好きになるだろ？心から俺の女になっちゃえば、英雄への想いに悩む必要もなくなる。そうだろ？」

「は？そういうことじゃな……あれ？でもそうか……お前が言うなら私は英雄様への想いを断ち切らなくちゃいけない……」

「だって私の人生は……お前に決定権があるんだから……」

つづく