今川義元は自らの側近として新しい参謀を登用していた。
ところがその男は人の心を惑わす力を持っていて、裏で義元を操っていたのだ。

心を操られ傀儡と化している自分に気付くことができなかった彼女だが、男は参謀としては優秀だったため、言葉に従うことで華々しい戦果をあげることができた。

今日もまた、戦に勝利した義元は、参謀に褒美を与えることにしていた。
当然それもまた心を操られてのことである。

「我が忠臣に、褒美を取らせよう。なんでも望みを言ってみるが良い」

「では、今川義元様を褒美として私の妻にしていたただきたいのですが」

「今川義元？ほーう……妾を妻に娶りたいと申すか」

「……それの意味するところ、わかっておるのか？」

まんざらでもなさそうな義元の表情、それの意味するところは嫁ぐことに抵抗が無いという事だ。
当然これも精神操作によるものであり、彼の妻になることはむしろ望んでさえいる。

「妾はこう見えても尽くす女ぞ？」

「妻になれば、片時もそなたとのそばを離れず、尽くし続ける重い女よ」

「それでも妾を褒美に欲するか？」

「もちろん。これまでは私があなたの側で尽くし、支えてきましたが、これからはあなたが私に尽くしてください」

「褒美にあなたを妻に貰えないのなら、他にはいりません」

「なんと！そこまでの想いであったか！」

「わかった、ではそなたには褒美として妾を妻として与えよう」

「今より、妾はそなたの妻じゃ」

「この瞬間からそなたは最愛の夫。常に傍で妾が支えるからそのつもりでな」

「となれば善は急げじゃ。祝言の儀はいずれするとして、まずは取り急ぎ、純潔を捧げたい」

「私も堅苦しい祝言はどうでも良いので、まずはあなたの体を味わいたいと思っていたところです」

「そうか！さすが愛しの夫よ、妾と気が合うの」

今川義元はさっそく自分の屋敷に夫を招き入れ、男を知らぬ純潔の体で夫の夜伽を行った。



「これでもいつか出会う愛する男に捧げる為に大切に取っておいた純潔……」

「しっかりと受け止って欲しい。そして妾をそなたに染めてくれ」

「わかっていますよ。その華奢な体、余すことなく私の色に染めて差し上げましょう」

こうして義元は純潔を捧げ、参謀の男が正式に夫となったのをきっかけに、これまで以上に言うことを聞くようになった。
完全な傀儡と化した義元は、生涯意のままに操られたが、彼女にとっては女の悦びに満たされた幸せな人生だった。

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