尾宅太助とステータス書き換え装置~四宮かぐや編~
作品ミックス - 2023年04月24日 (月)

「人物写真も良いですが、背景をしっかり撮れるようにならないと始まりませんね」
「ここなんかは色々と景色を撮るのに良さそうですね」
彼女は知らない、そんな自分の姿を撮られ、それを悪用されようとしていることを。

「画像取り込み完了♪」
「さーて、この人はなんていう人なのかな」
かぐやの姿を盗み撮りした男が、画面上で操作をする。

すると個人データが表示された。
「ほうほう。もう結婚してるのか」
「カメラマンね。なんか意外だな。ま、どんな人だろうが関係ないんだけどね」
表示された情報を選び、その内容を変更する操作をする。

「はい改竄~♪」
男は画面上でカメラマンという属性を尾宅太助専用便器と書き換えてしまう。
それだけなら悪ふざけ程度だろうが、恐ろしいことにこの機械で書き換えられた内容は、現実世界に反映されてしまうのだ。

表面上は変わらないが、尾宅太助専用便器となった彼女に話しかける。
「トイレに使っていいですか?あ、小ですw」
「はい構いません。どこを使いますか?」
「どこ?」
「お口かそれとも……」

「こちらにしますか?」
「おっととw」
「ここじゃあれだからあっちで使うよ」
「わかりました。移動します」

「んっ……」
木陰で脱がせて、トイレとして使う。
口や手のひらにじょぼじょぼとおしっ こが注がれても、全く嫌がることはなく受け入れる。
尾宅太助専用便器なのだから当然と言えば当然だが、つい数分前の彼女からは考えられない出来事だ。
「ふースッキリ♪」
(そういえば配偶者がいるってデータだったな)
(気に入ったから、家に行って引き取るか)
「お前さ。名前なんだっけ?」
「白銀かぐやです」
「あーそうだったな。今家に旦那っているのか?」
「はい。いるはずです」
「そか。じゃあ家に行くから案内しろ」
「かしこまりました」
―――

「ここが私の家です」
「年いくつだっけ?すんげぇ高そうな家に住んでるんだな」
都内の一等地に建つ超高級マンション。
二十歳そこそこの若夫婦が住むには高過ぎると率直に感じる家に少々戸惑いつつも、招かれて部屋に入る。

インターホンを押してから入ると、玄関先で夫が出迎えた。
「はじめまして、尾宅太助と申します」
「はじめまして。かぐやの夫の白銀御幸です」
「さっそくで悪いんですけど、あなたの妻を引き取りに来ました」
「しばらくは俺の家に置いておこうと思いまして。いいですか?」
「構いません。確かにかぐやは私の妻ですが、あなたの専用便器ですから、所有権は尾宅さんにあります」
「ご自由にどうぞ」
「理解が早くて助かります♪」
「じゃあ、遠慮なく持ち帰りますね。いくぞ便器」
「はい。かしこまりました」
こうしてかぐやは引き取られた。
自分の妻が便器として回収されるのを、夫も気に留めない。
個人情報を書き換えられた影響力は、全ての人の認識をも変えてしまうのだ。
つづく?